落語を直接聞きに行くのは敷居が高いし、第一どんな落語家さんがいるのか知らないし、何を聞いていいのか分からない。そういう方がほとんどだと思います。そんな最近いろいろ騒がれている落語、ちょっと興味が湧いて来た方におすすめの落語家さんをPV付きでご紹介します。

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立川志の輔

まずは、立川志の輔師匠です。この方、テレビにも出ていらっしゃいますから、よくご存知の方も多いのではないでしょうか。志の輔師匠は、落語の中でも新作が得意です。

落語には、新作と古典の2種類があります。古典落語は、江戸時代から伝わっている演目で、新作落語は主に落語家や落語作家が自作して自演するものです。立川志の輔師匠はその中でも新作の味がとっても面白く、日常の一コマを切り取ったような設定なのになんだかおかしい、コメディードラマを見ているような感覚になります。

しかし、立川志の輔師匠の凄いところは、新作だけでなく古典も滅茶苦茶に面白いところです。

亡くなられた立川談志師匠は、弟子の昇進基準に古典落語100席を覚えることを課していた人です。その基準をクリアしてきているのですから、古典の実力があるのは当たり前です。しかも、古典をそのままではなく、現代風にアレンジしているので、非常に聞きやすいです。とにかくどんな演目でも外れがない、オールラウンドプレーヤーといえます。

春風亭昇太

春風亭昇太師匠は、笑点の司会でお馴染みですね。最近は、ドラマへの出演も増えていて、知名度もぐんぐんアップしています。春風亭昇太師匠の落語は、新作です。その話しの多くが、ものすごくズレた人が出て来て、ドタバタ劇を展開するものですが、とにかく真面目な人が変になる感じが面白いんです。

高座でのアクションも激しい方で、身振り手振りがとても大げさでそれがまたおかしくてたまりません。ぜひ一度、音源だけじゃなくて、映像か出来れば生で見て欲しいです。ちなみに、あんなに若く見えますけど、もうすぐ60歳ですから、びっくりですね。

柳家喬太郎

柳家喬太郎師匠も新作と古典のどちらも出来るタイプの方です。BS放送で落語の冠番組を持っているのはこの方だけです。恰幅がいいので、大旦那や棟梁、妓楼のおかみなんかもどっしりと演じられるかと思うと、落語に出て来るちょっと変な人も抜群に面白く、演技巧者です。

新作は、どこかノスタルジーを感じさせる切ないテイストのものがあったかと思うと、エッチなネタもばんばん出して来て、本当に伸び伸びやっている感じです。対して古典は、基本の型をしっかりやりつつも、要所に柳家喬太郎師匠ならではの工夫が入っていて、しびれます。

古今亭菊之丞

古今亭菊之丞師匠は古典の正統派です。これぞ落語、というのを聞きたいのであれば、非常におすすめです。前のお三方が、落語家としては脂が乗り切った50代、60代なのに比べ、まだ40代という落語界では若手に入る年代なのですが、2003年に31歳という若さで大抜擢されて単独真打昇進という快挙を成し遂げたその実力は凄いの一言に尽きます。

古今亭菊之丞師匠は、特に吉原を舞台にした遊女が出て来る噺がいいです。端正な顔立ちに違わず、女性や若旦那などがとてもよく似合います。しかしそれだけではなくて、とぼけた役も結構おかしみがあります。このイケメンが変な役をやるから、そのギャップがまた笑いを誘うんです。

柳家三三

最後は、柳家三三師匠です。今回ご紹介した師匠方の中では最年少なのですが、古典の正統派としてその実力は高く評価されており、将来の大名人との呼び声も高い方です。人間国宝の柳家小三治師匠のお弟子さんで、多くの落語家さんが、大学生時代に落語研究会に入った後に入門するのに対して、高卒で小三治師匠に弟子入りした柳家三三師匠は、「小三治純粋培養」と言われているほど、その至宝の芸を継承しています。

非常に聞き心地がいい落語家さんです。軽い噺から人情噺の大ネタまでレパートリーも幅広く、古典落語を最初に聞く人としてはぴったりです。

まとめ

以上、5人の師匠方をご紹介しました。どの方も面白いのですが、とにかく面白い噺を聞きたい、古典は敷居が高そうだから新作から聞いてみたいという方なら、立川志の輔師匠、春風亭昇太師匠です。やっぱり落語らしい噺を聞きたいから古典だろうという方には、古今亭菊之丞師匠、柳家三三師匠でしょう。

どちらか分からないし、とっつきやすいのがいいという方なら、立川志の輔師匠か柳家喬太郎師匠がおすすめです。落語は演者によって、同じ噺でも面白かったり面白くなかったりする不思議な芸能ですが、この5人ならどなたを聞いても間違いはないでしょう。