新入社員向けの研修や仕事に対する意識が低い若者向けの研修などでは、研修の参加者に対し叱咤激励を飛ばすセミナー講師の姿があります。しかし、ただ単に叱咤激励を飛ばしているだけでは反発されてしまい、自らの話を聞いてくれないということになってしまいます。こうなると、研修を通じて意識の改善を見込んでいた会社や自治体の担当者などからは冷たい視線で見られてしまい、二度と受注を受けなくなってしまいます。そういうことのないよう、セミナー講師として、説得力のある話し方をすることが求められ、話に説得力を持たせるコツというものが存在します。

まず大事なことは、どういう人たちをターゲットに研修や講演をしていくかというものです。例えば、新入社員研修の場合、まだまだ学生気分が抜け切れておらず、社会人としての自覚があまりない人たちを対象とした場合、社会人としての自覚に欠ける行為を叱責するなど、それを会社でやったらすぐに役立たず扱いされてしまうぞということを強く植え付けさせるだけでなく、この研修自体にも給料が発生しているという事実を印象付けることでセミナー講師と受講者の上下関係を確立させ、話を進めていきます。この上下関係さえ最初に作っておけば、こうした研修では常にイニシアチブを握ることが可能になります。

これは入社5年目や主任、管理職の各種研修でも同じことです。セミナー講師は上司からの依頼でやってきたという形で現れます。つまり、目の前にいるのは上司と変わらない立ち位置の人であるため、ちゃんとしなければならないという意識はおのずとついて回ります。そして、次に求められるのが常に問いかけを行い、考えてもらい、発表してもらうという緊張感です。セミナー講師も単に話だけをしていたら聞き流されてしまうのは知っています。そのため、本当に考えているのかを常に問いただすようなことをすることにより、一瞬でも気が抜けないような状況を作り出すことになります。

この前提があっての話し方ということになりますが、明るくハキハキとした声で大きくするのが大前提です。堂々と立たなければ、何のために上下関係を作り出しているのかがわかりません。堂々と大きな声で話すからこそ自信満々に聞こえ、この人は正しいことを言っていると思わせる効果を持ちます。そのためには、猫背にならず背をピンと伸ばすことも大切です。そうすれば自然と大きな声で話すことができるため、明るくいい声になります。そして、早口にならないようにすることもポイントです。早口だと聞き取りにくく、自信がなさそうに、イライラしているように消えるため、ゆっくりと話すことが求められます。

意外と忘れがちなのは語尾をはっきりと言い切るということです。社会人とはこういうものだと言われれば、そうかそういうものなのかと思いますが、社会人とはこういうものだと思うぞと言われると、お前の意見なんかどうでもいいと思われ、素直に受け取ってもらえなくなります。人間はその情報が間違っていても、短い言葉で言いきってくれれば自然と信じるようになります。たとえ、目の前にいる受講者の多くが自分よりも年齢が上の人たちであったとしても、語尾は言い切り、これが正しいという態度で接することが求められます。仮に間違っていれば、すぐに認めて謝ることも必要です。

わかりやすい言葉で話すということもセミナー講師には求められます。特にビジネス関係のものになると、よくわからないような横文字が並び、受講している人が疑問に感じることがあり、わかったふりをする可能性が高まります。それを避けるためには、できるだけ横文字を使わないことがコツであり、どうしても使わざるを得ない場合は身近な例えでイメージをしてもらうということが必要です。もちろん、あまりに分かりやすい言葉や、受講者が専門的な知識を持っている場合には気にすることはありませんが、なるべくそのあたりの言葉のチョイスにも注意しなければなりません。

話し方にさらに説得力を持たせるにはジェスチャーが欠かせません。さすがに受講者の中には、仕事で言ってるだけだろうとうがった見方をする人も出てきます。そう思わせないようにするためには、ジェスチャーを使い、あたかも本気で思っているかのように演じることも必要です。また、時折受講者の目を見て話すことで、この人は本当にそういうことを考えているのだと思わせることができます。

もちろん、笑顔で話したり、受講者に配慮したりして行うことも必要ですが、長丁場を実質的に1人で取り仕切るというのは非常に大変です。できれば短い間で信頼関係を築き、師弟関係のようなものになればしめたものです。数日間に及ぶこうした研修では最終日に受講者から感謝の言葉が述べられることもあります。そういうような形にしていくためにも、守るべきものはしっかりと守って、説得力のある話し方、見せ方を研究しなければなりません。