自分が伝えたいと思っている内容を相手に伝えるという行為は、日ごろ同じ言語を使っていて、普通に会話したり、手紙やメールといった文字のやりとりができる者同士であれば、ごく簡単なことのように思えます。とは言え、自分が伝えたはずの内容が相手にちゃんと理解されておらず、頼んでおいたことを実行してもらえなかったり、相手が話している内容の要点がなかなか見えて来ず、散漫な印象のまま聞き流してしまうといったことは、日常、意外に起こりがちです。

自分が伝えたはずの内容が相手にちゃんと伝わらない原因

文字情報として落ち着いて読めるはずの文章も、言葉足らずだったり、内容の主旨が明確に記載されていないために、読む人に誤解を与える結果になることもあります。インターネット上のSNSで頻繁に起こる炎上騒ぎの多くも、書き手の意図が伝わり切れなかった箇所が曲解されて発生することもあり、その後の補足によって双方が納得して納まることもあります。

一度に掲載できる文字数が決まっているSNSで伝えそこねる事態が生じるのは、やや無理がない面がありますが、お互い面と向かって、ジェスチャーなども交えて会話できる場でありながら、伝えたいことがしっかり伝えきれないというのは、話し手に「伝える力」が不足していることも考えられます。

上手な伝え方@6つの要素

伝えたい内容自体が相手にとって予備知識があるもので、それに関して補足するような解説であれば、多少伝え方に問題があっても、相手が質問し、それにすぐ回答するなどして、結果的にスムーズな伝達が可能になりますが、相手にとってあまり馴染みのない分野についてや、相手が初めて聞くような入り組んだ事情などは、それなりに伝える技術が必要となります。上手な伝え方には、6つの要素を持つ法則があるとされ、その法則に沿って伝えることで、伝えたい内容が相手に理解されやすくなります。

Theme

まず、内容のテーマ「Theme」を相手に伝えます。言い換えれば「結論」を真っ先に述べるということです。説明部分が長くなる話というのは、聞く方にしてみれば「この人は何が言いたいのだろう」ということが気になって、話自体は耳に入っていないことがあります。結論が先に述べられていれば「それについての説明」と理解が済んでいるので、内容がスムーズに脳内に伝達されていきます。

Number

次が、伝えたいことが幾つあるかという数「Number」です。

Point

そして話の要点「Point」で結論までの内容を、できるだけ一言で表現しておきます。

Reason

そして、その要点について、なぜそう言えるのかという理由「Reason」。

Example

次に具体例として、どういったエピソードがあるかという「Example」。

Point

話の最後に、要点を繰り返しすことで念押しする「Point」を再び持ってきます。これら6つの要素それぞれの頭文字を取って並べた「TNPREP」で、「テンプレップの法則」と呼ばれています。このテンプレップの法則は、伝える力をアップさせるツールとして、ビジネスの場でも重宝され、有効活用されています。

テンプレップの法則の活用法

テンプレップの法則の中で最も大事となるのは、やはり、話の冒頭に内容全体の結論をはっきり伝える「テーマ」の明言です。テレビニュース等でも、開始時に概要を伝えるトピックが出て、それぞれの内容を伝えて行くアナウンサーもトピックの内容をまず明言し、それについて解説していきます。

スポーツニュースなどで勝敗の結果を映像で伝えたい時は結果を伏せることがありますが、それ以外は、大抵結論から伝えます。それによって、視聴者はアナウンサーが何について説明し始めたのかすぐに判り、話の内容をスムーズに受け取って行きます。気になる事件については、全容を早く知りたいばかりに、視聴者は伝えられている内容を、脳をフル回転させて聞き入ります。

日常会話やプレゼンなどでも「何についての話か」が先に判っていれば、聞き手の脳は、十分な受け入れ態勢を整えて、話を聞いてくれるという構図が出来上がります。「何について説明されているのか」が冒頭で判らない状態は、聞き手の脳が、その内容を推理することで忙しくなり、結果、話し手にとっては「順を追って説明しているのに、判ってもらえない」といった状態を招くことになります。

最初のほうで伝えたい要点の「数」を明言することも大事で、伝えたいことが3つと言われたら、相手は無意識に3つの内容を受け入れるための集中力を準備します。人の集中力は意外に長くもたないもので「どのくらいの配分で聞けばいいのか」が、事前に判っているかどうかは、かなり重要です。3つの内容と言われれば「今1つめが済んだから、あと2つ」と、残り2つを聞くための集中力を維持しようとします。

さらに、聞く相手の集中力持続を助けるのが、要点を繰り返す「念押し」です。「大事なことなので、2度言います」も、同様に大事なテクニックと言えます。聞く人は集中力が途切れがちになった瞬間に、冒頭のフレーズを繰り返されることで「そうだった、その話だった」と内容への集中に気持ちが戻ります。相手の心理状態に応じて、その都度、伝え方の工夫を臨機応変に変えることも必要になります。

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