コミュニケーションスキルは、生きる力です。処世術は色々とありますが、コミュニケーションが上手い人々はどこの世界でも円滑にキャリアを築いていけます。今の日本社会はいわゆる学力、要するに学歴が依然として重視されています。有名大学を卒業した人物は優位な条件で受験や就職活動を始められます。しかし、それはあくまで1つのステータスに過ぎず、確かに未だに学力を採用時に重視する大学や企業は多いですが、単純な学歴よりもコミュニケーションスキルを重要視する組織が近年急増し始めています。学力がいくらあったとしても、いわゆる同僚として一緒に楽しく働けるか、この点が就職の面接では厳しく審査されます。
コミュニケーションスキルは処世術の中でも最も大事であり、特に今日の日本では学生から社会人、そして普通の主婦まで会話力が高い方が、組織の中で優位なポジションに付けます。テレビの討論番組やディベート大会に出る人々だけが、以前はコミュニケーションスキルを磨いていましたが、今では普通の市民の間でも会話の力を高めようとする動きが活発化して来ています。
日常会話はその人の価値観が、実は丸々反映されます。ビジネストークとは違い、その人の日頃の生活や価値観がそのまま日常会話には出るため、職場や学校で何気なくする雑談にも注意は必要です。中身のない話ばかりをしていては、他人から味気ない人物だと思われます。また自分の関心がある雑談ばかりをしていては、周囲の人々から少し自己中心的な人物だと見られてしまいます。
雑談は本当に何気ない会話ですが、想像以上に「自己紹介」になってしまっていますので、コミュニケーションスキルを磨きたい方は、相手に「うまい」と感じさせるようなトークを意識しなければなりません。どういったテーマをチョイスするか、それは相手の属性をよく見て選びましょう。
スポーツ好きな活発な女性相手であれば、昨日観戦したテニスの試合結果を話したり、今現在開催されている世界的なスポーツイベントの話題を振りましょう。反対に少し内向的でおとなしいタイプの男性と話す時は、読書やゲームなど、インドア系の趣味を持ち出すのがおすすめです。更に内気なタイプであれば、積極的に質問を投げかけるのも良いテクニックです。質問をされたら、内向的な男女でも自然と返事がしやすいですし、何気ない質問で意外な一面も見つけられるでしょう。
お喋りなタイプなのに、日常会話が下手だと評価される人々がいますが、そういった方は相手に合わせた雑談をしていない事が多いです。マシンガントークで自分の好きなテーマについて饒舌に話をしても、それは会話力があるとは言えません。コミュニケーションはよくキャッチボールに喩えられますが、まさにその通りです。球を投げるだけではキャッチボールになりませんので、相手の趣味や性格を考えて、しっかりと聞く人々に伝わるテーマや返事をしやすい話題を意識しなければ、それはコミュニケーションとして成立しません。
またディベートの技術と日常会話のスキルは基本的に別物です。ディベートは論理的に相手を論破したり、説得をする事を目的にしますが、雑談の目的は言葉のキャッチボールであり、相手との意思疎通です。そのため、ディベート的な会話術を学んで来た人々が、意外にも雑談が苦手という事もあります。
真面目過ぎる男女もまた日常会話に苦手意識がありますが、固すぎるテーマや政治や経済の話題ばかりを相手に振ると、会話がなかなか長続きしません。
「うまいっ!」と相手に感じさせるためには、欧米の人々の会話術を意識する必要があります。いわゆるジョークやメタファーを積極的に日常会話へと加えていく事です。洋画の雑談などは代表的ですが、非常にリズミカルなやり取りがあり、また日常的なコミュニケーションにも関わらず、鑑賞する人々がくすりとするシーンが多々あります。
話し方が論理的過ぎると相手に不快感を与えてしまいます。特に話を始める最初は、話題の枕としてジョークを交えてみましょう。「最近暑いよね。このまま暑さが続いたら、年末年始には50度、超えているなあ」等、やり過ぎは禁物ですが、他人に話しかける時にユーモアをたっぷり織り込んでみましょう。
メタファーの表現を用いることも大切です。「昨日の部長のお説教はまるでゲリラ雷雨みたいだったね」や「うちの若手社員はスマートフォン。アプリという情報を追加してあげたら、どんどん活躍してくれる」等、比喩的な表現を交えてトークをすれば、相手から興味を持ってもらえるでしょう。
また実在した歴史上の人物になぞらえるテクニックも面白いです。「部長は豊臣秀吉タイプだとしたら、私は明智光秀になるでしょう」や「ライバル企業の戦略が織田信長タイプという事なので、わが社としては坂本竜馬のような革新的なプロジェクトの企画でクライアントにアプローチしましょう」等、分かりやすい表現ながらも、どこかユーモアが光る言い回しをすれば、聞く人々に「うまいっ!」と感じてもらえるトークになるでしょう。