人にとって、呼吸は精神状態に影響したり、肉体的にも緊張や緩和といった影響があります。お腹を意識して行う腹式呼吸は、副交感神経を刺激してリラックス効果を引き出したり、リラックスによって様々な副次効果が得られるのが特徴です。

しかし、一般的な呼吸法とは使う筋肉や意識する部分が異なるので、やり方が難しく感じられたり、習得に時間がかかると思いがちです。

普段とは違う呼吸方法に興味を持って、習得したいと考える場合は、寝ながら行うトレーニングで呼吸のコツをつかむことができます。

イスに座ったり立って行うよりも、寝ながらの方がお腹を動かしやすいので、横になって挑戦してみるのはとても合理的です。また、人は睡眠時に無意識で腹式で呼吸をしているといわれますから、これを意識的にできるようになると、ストレスを感じた時の解消に役立ちます。

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寝ながら腹式呼吸のメリット

トレーニングの際は横になる必要があるので、お休み前の布団の中が、習得の理想的な時間や環境となるでしょう。

腹式呼吸では、お腹の力の入れ具合や、鼻から肺へといった呼吸の流れに意識を向けることが大切なので、静かで暗い落ち着ける環境が理想的です。

寝ながら腹式呼吸する方法

具体的なトレーニング方法としては、仰向けに寝ながら片手をヘソのあたりに置いて、もう一方の手を胸に置きます。

両足は伸ばした状態から膝を軽く曲げて、お腹周りの筋肉を緩めてあげます。

呼吸における吸う時の基本は、必ず鼻から吸い込むように心がけ、逆に吐く息は口から出す意識をします。

鼻から息を吸い込む際には、新鮮な空気がお腹を膨らませるイメージを思い浮かべ、もう吸い込めないという所まで吸い込みましょう。

胸ではなくお腹で呼吸をコントロールする、こうイメージしたり自然な呼吸ができるようになると、ストレス解消のリラクゼーション効果が発揮されます。

実際の空気は肺に送り込まれますが、腹式呼吸においてはお腹に新鮮なエネルギーが溜まる、そういった意識で行うことがコツをつかむ成功の鍵となります。

息を限界まで吸いきったら、しばらくそのまま呼吸を止めて、息苦しくなったら今度は口から息を吐き出します。

この時のポイントは、吸う時の早さよりもゆっくりと吐き出す意識を持って、お腹を凹ましながら肺の中の空気を出し切ることです。

息の吐き出しに成功すると、肺の中の空気はほぼ空っぽになるので、次に吸う空気は最初の一呼吸よりも美味しく新鮮に感じられるはずです。

理想的な呼吸ができていれば、お腹だけに意識を集中していても、自然と無理なく肺に空気を送り込んだり、肺から空気を出し切る結果に繋がります。

寝ながら取り組むトレーニングなので、そのまま眠ってしまっても構いませんが、風邪をひかないように、予め就寝の準備を行っておくことが大切です。

加えて、肌寒さやトイレの催しは集中を妨げる要因となるので、これらも事前に解決しておく必要があるでしょう。

正しく行えていると思っても、正解の確認が難しいのが腹式呼吸ですから、呼吸によって得られる効果を参考にして、上手くできているかチェックしてみることをおすすめします。

新鮮な空気を常に肺に満たし、それを全身に供給する呼吸法なので、頭は澄み渡るように冴えて、焦燥感やネガティブな思考が落ち着くといわれています。

更に、手足の指先に温かさが感じられたり、体の重さや痛みといった不快感が軽減する、という感想を抱く人も少なくありません。

寝ながら行う人によっては、あまりの気持ち良さに寝落ちしてしまう人もいる位ですから、このように感じられるリラックス効果には説得力があります。

どうしてもコツをつかめない人は、上手く呼吸することを意識しすぎたり、翌日の予定や悩みに意識をとらわれていて、呼吸に集中できていないものと思われます。

息を吸い込んだ時に、胸に置いた手が動いてしまう場合は、両手をお腹に置き直して、今度は両手を押し上げるように吸い込んでみましょう。

お腹を積極的に動かしたり、筋肉を使って吸い込む方法なので、慣れない人は疲労感を覚えたり、軽い筋肉痛になることもあります。

ただ、疲労感や筋肉痛などの感覚は、正しい腹式呼吸が身に付き始めている証拠なので、これを繰り返し続けるのが習得の近道です。

一方で、吸い込みよりも吐き出し方に自信がない時は、膨らましたお腹を両手で押すように意識すると、吐き出す感覚が無理なく身に付きやすくなります。

最初の数日は、誰でも上手くできないと悩むものですが、毎日5分10分と続けることで、1週間後には呼吸のコツがつかめているでしょう。

1週間毎日続けてもコツが分からないなら、姿勢をうつ伏せに変えてみて、あえて胸の苦しさを覚えるのがコツをつかむヒントとなります。

うつ伏せに寝ながら行うので、不慣れ故に違和感を感じるのは自然な感覚ですが、この違和感こそがコツを教えてくれる切っ掛けに変わります。

後は繰り返しトレーニングを続けて、胸やお腹の動きを意識せずに行える呼吸のコツをつかむ、それが腹式呼吸をマスターする上での最終的な目標になります。