鉄板の会話ネタとして、『さしすせそ』の法則と呼ばれるものがあります。『さしすせそ』の法則というと料理で調味料を入れる順番の法則が有名でしょうが、会話にもこの名前で呼ばれる法則があるのです。これはどちらかというと自分から話す話の内容というよりも相手の話に対する相づちの打ち方を示しています。
タイトルに会話ネタと書かれてはいますが、どんな話を自分から組み立てようかという悩みに関してはあまり関係がありません。上手な聞き役になるというか、せっかく相手が話してくれているのにもかかわらず話しが続かない、場が白けてしまうといった悩みに対して効果があります。
『さ・し・す・せ・そ』が示すキーワード
実際にさしすせそが何を表わしているかというと、
- 「さ」は、さすが。
- 「し」は、知らなかった。
- 「す」は、すごい。
- 「せ」は、センスがいいというような相づちを指す。
- 「そ」は、そうなんだ。
、となっています。
見ていただいて分かるとおり、全てが相手の話に対する相づち、受け答えのキーワードです。別に、「せ」が「センスがいい」を表わすからと言って、自分で何かセンスの良い話をすることが大切だというような意味では決してありません。
では一つ一つを見ていきましょう。
さすが
まず「さすが」ということですが、もちろん相手やシチュエーションによっては「さすがだなあ」とか「さすがですねえ」などと語尾が変わることもあるでしょう。これは相手を褒めていること、相手が素晴らしいと褒めていることに他なりません。人間誰でも、褒められて嫌や感情を抱く人はいません。ただし注意しないといけないのは、別にこの言葉だけではなく他の4つでも同じですが、嫌味というか褒め殺しのように受け取られてしまっては完全に逆効果になってしまうことです。
これはこの法則だけでは全くカバーできません。一つの方法としては、真に相手に興味を抱くこと、相手に好意を持ってもらおうと心から思うことです。そうすれば自然と言葉の抑揚やタイミング、さらに重要なことは身体的なジェスチャーや顔の表情にも自然とそれが表れ、嫌味と受け取られるようなことはなくなるでしょう。逆に本当は相手の話に興味もなく相手に気に入られようとも思っていないのに無理やりにこの言葉を使っても、決して褒め言葉とは受け取ってもらえないものです。
少し話しがそれましたが、「さすが」という褒め言葉をうまく使うことが一つのポイントです。
知らなかった
次に「知らなかった」ですが、これは逆のシチュエーションを考えてみればよく分かるでしょう。相手が目を輝かせながら得意げに語っている話について、「その話、もう知ってるよ」と言うと、その後の展開はどういうようになることが予想されるでしょうか。せっかくの話なのに、既に知っているとなると、もう興味がない、その話はもういいから次の話題に行こうと言っているのと同じことです。
もしかしたら、知っているとは言っても本当は知らないのではないかとか、その理解は間違っているのではないかとかで、話し始めたほうは怒り出すこともあるかもしれません。そこまで行かなくても、急に話の腰を折られたことになり、話がその後続かず気まずい展開になってしまうことも予想されます。うまく話しを続けるためには、場合によっては本当は既に知っていることであっても、「知らなかったよ」と言うのが良い場合もあるということです。
すごい
3つ目の「すごい」ですが、これも単純でどんなケースでも使える驚きを表わす言葉、表現です。何が「すごい」のかこれだけではもちろん全く分かりませんから、適宜言葉を追加してもよいでしょう。「さすが」と同じようなもので、人間は誰でも自分を褒めてもらうこと、自分の話が驚きをもって受け止められることで、悪い気分がするはずがないのです。これだけリアクションを返してくれる人に対してであれば、もっと話を続けよう、続けたいという気持ちになることでしょう。
センス
4つ目は「センス」がキーワードです。相手のセンスを褒めるわけです。だいたいにおいてセンスというのは何か明確なものさしがあるわけではありません。相手が明らかに自慢そうにしている場合は言うまでもないこととして、そこまで自慢げにしていない場合でもセンスの良さを褒めるというのは相手の気分をよくさせることは間違いありません。
そうなんだ
そして最後の「そうなんだ」というのは典型的な相づちかもしれませんが、これは相手の話をしっかりと聞いている、興味がある、続きが聞きたいということを直接的な言葉ではなくて表現しているわけです。これも抑揚や表情が重要であることは言うまでもありません。
まとめ
結局のところ、これら5つのキーワードはどれも、相手を褒める、または相手の話に興味を持っていることを示す働きがあります。褒められて、かつ自分の話に興味を持ってくれていると思えば、会話が弾むことはまず間違いありません。